2009年4月20日月曜日

厚生文教常任委員会道内先進地行政視察報告書  -7-                               


3.視察を終えて

 今回は、医療連携、健康づくり、認知症高齢者対策と医療、保健(予防)、福祉の分野でのすばらしい施策展開を視察した。何れも、住民の生命、健康に関するもので、行政の存在意義が最も強く問われる分野である。
 話を聞いていて、特に強く感じたことが何点かあった。

① 何れの町も課題を的確にとらえて、何が問題で、何を解決しなければならないか。 住民が真に必要としているのは何か、を明確に示している。問題の的確な認識がな ければ、有効な解決はあり得ない。
  奈井江町では、病院の建て替えを機に住民の生命・健康を守るこの地の医療体制を どうするか、という視点から施策が展開されている。また、健康づくり事業では、 国の方針を形にとらわれずきちんと自分のものとして取り入れ、健康づくりの計画 策定の前提として、なんのために健康づくりの計画が必要なのかを、町民にわかっ て貰うための事業を行っている。
 本別町では、調査で浮かび上がった、認知症高齢者の数の多さとその状況を、解決 すべき重要課題としてきちんと捉え、行政、医療機関、関係団体、住民が一緒にな って考え、努力する体制を作っている。

② 問題解決に向かって住民の力を結集する、行政の役割が明確に示されている。
  奈井江町の開放型病床に象徴される、町内の病院・診療所の連携では、医師をはじ めとする医療関係者の強い問題意識と課題解決に向けて一体となった行動があった。 また、健康づくり事業では、町民あげての健康づくりを通してのまちづくりへの参 加があった。
 本別町の認知症高齢者対策事業においても、町民の認知症への理解と地域の支え合 う意識がなければ成り立たない。
  今何が問題なのかをきちんと町民に示し、その解決のために町民一人一人が、関係 機関・団体が何をすればよいか、行政は具体的に何をするかを示す。そのことによ り地域の力の結集をはかる。
 行政の真の役割とは、課題を示し、解決の方向を提示する「リーダーシップ」と住 民がその持っている力を十分に発揮して、行政と一体になって問題解決に向かう「場」づくりであると感じた。

④ 各町村はそれぞれ立地条件が異なる。それぞれに有利なところも不利なところも ある。違いを強調することにより、あれができない、これは無理だと言ったら何も できない。他の町で成功を収めている事業の手法を、どのように我が町に取り入れ ていくか、それが一番の課題である。  

⑤ 最後に、特に印象に残った説明者の言葉を列記する。
「フィンランドと日本では風土も体制もいろいろ違いがあります。そのまま、まねを してもうまくいきません。その精神を移入し、この町でどう生かすか、です。」
「この町から医療難民を出すわけにはいきません。」
「この窓口に来て貰えばそこで全部できます。後ろは繋がってますから。」
「机の上で計画を作って、さあやりましょうと言っても、町民は動いてなんかくれま せん。」
「健康が究極の目的ではありません。健康づくりを通して健やかで心豊かに生活でき る、いきいきとした町づくりを目指します。」  
「町民同士による話し合いが楽しい、自分の意見が行政に生かされていくことが体験 できるという感想が寄せられました。」
「どこから手をつけていいか分からないほど大変な問題だけど、先ず3年の事業計画 をつくり、1年1年重点項目を立てて、やってみようと考えました。」
「支援ボランティアの仕事は、それに携わってくださる人自身の介護予防にもなって います。」
「そんなの行政の仕事でしょう、と言っていた人が、どうやったらできるか一緒に考 えよう、と言うようになりました。」

 


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